こどもワークショップ「2000年後のやきもの王国を発掘しよう!」

 

後藤 規絵  高浜市やきものの里かわら美術館  事業企画・交流グループ 推進担当 

 

ここは4020年の“やきもの王国”。
この日、国王である柴川敏之さんは、やきもの王国にどんな歴史があったのか調べるため、優秀な発掘調査員の有志たちを集めた。
今までに発掘されてきた、様々な出土品を恭しく紹介する国王。
お守り (携帯電話・スマートフォン) 、建築模型 (シルバニアファミリー) 、祭礼具 (キューピー人形) 、瓦 (車のエンブレムや割れた額縁) など。中には、棒状遺物 (ボールペンやビューラーなど) として、用途がはっきりわからないものもある。
それらを輝く瞳で見つめる調査員たち。口々に自らの見解を述べ始めた。
「これは (やきそばの) UFOでしょ?」
「これ絶対、プラレール!」
「招き猫もいるじゃん」
「あ!トロフィーは本物!?」
さすが有志だけあって、見立てが素晴らしい。今日の発掘作業が楽しみだ。

 

ところで、国王によれば、この王宮の庭は20~21世紀に活躍した美術家・関根伸夫氏の設計であるらしい。確かに、象徴的で親しみやすい造形と、優しく波を打つ瓦の意匠には高い美意識を感じる。過去の資料によると、市井の人々が憩う場所を目指して設計されたようである。現在もちいさなこどもから年配の方まで、日々の散歩や待ち合わせ、日向ぼっこ、外遊びなどを目的に人々が集っている。時々、祭りやマルシェの会場にもなるそうだ。

 

さて、今日の発掘現場はこの庭。寒空・強風の下での発掘作業は隊員の身に堪える。いかに正確にスピーディーに進めるかが鍵だ。
バンダナ、タオル、軍手、カイロで装備をし、さっそく発掘現場へ。

 

現場には、やきもの王国の同盟国である備前の国から特別に取り寄せた美しい帆布があった。この帆布の上に、インクをつけた版画用ローラーを滑らせば、出土品を拓本として採集できるようだ。国王の指示に従って、丁寧に作業を進める隊員たち。
どこからか聞こえてくる、インディジョーンズのテーマに心が踊る!
「こっち!こっち! なんか出た!」
「やっぱり瓦がたくさん出てくるのかな~」
拓本が薄くなってしまったところはもう一度、濃いインクで取りなおし。
来賓である高浜市長も隊員と一緒に発掘作業に夢中である。
真っ白で美しい帆布に、びっしり写しとられた「やきもの王国」の拓本には、蚊取り線香や園芸用の柵以外に、陶芸用のヘラや測り、大小の鬼面、瓦屋根のミニチュアなどが現れた。もちろん、関根伸夫氏のデザインしたであろう美しい瓦の波模様も。
ここぞ!という場所については、和紙に拓本をとりなおし、隊員各自のお土産とした。

 

発掘作業を終えた一行は、国王の部屋へ戻り、お土産となった和紙の拓本を“裏彩色”で彩る方法、さらにそれをペン立てなどに仕立てる楽しみを国王直々に伝授してもらった。
最後に…国王は青い惑星の模型と、それが全く錆びたような模型の両方を隊員に示し、どちらをこの先の未来の姿にしたいか問いかけた。彼らは国王の問いかけにじっと考えを巡らせていたが、輝く瞳の中にその答えがあるような気がした。

 

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ワークショップを終えて

柴川さんの溢れるエネルギー・バイタリティー・ホスピタリティが無ければ実現し得なかった、この一連の催しです。企画担当者として、館スタッフ一同を代表して、改めて柴川さんに感謝申し上げます。
ワークショップでは、「やきもの王国」「4020年」といったパラレルワールドを演出するために、過去の発掘ワークショップで仕立ててくださった衣類・小道具の準備、発掘するモチーフの設置、参加の小学生にわかりやすく伝えるための写真資料の提示など、至れり尽くせりの段取りをしていただき、不慣れな私たちにとって勉強になることばかりでした。
また、ワークショップに参加してくださった小学生やその保護者とのコミュニケーションについても、常に穏やかで、壁をつくらず、フラットに関わりを持たれる柴川さんの姿は、“エデュケーター” を目指す私自身の目指す姿だと感じています。
柴川さんの思い出の地、愛知で、このような縁に恵まれたことを心から嬉しく思います。

2020/1/18ー3/22 

未来からの扉~2000年後のやきもの王国へようこそ!|高浜市やきものの里かわら美術館(愛知)

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