G7倉敷教育大臣会合応援事業 美術館ルネサンス事業 

「発掘された過去・現在・未来」展

 

前野 嘉之  倉敷市立美術館 学芸員 

 

「G7教育大臣会合」が倉敷市で開催されることとなり、倉敷市教育委員会は、応援事業として倉敷市立美術館を会場に、倉敷市立美術館・倉敷市立自然史博物館・倉敷市立図書館・倉敷科学センター・倉敷埋蔵文化財センターの5つの生涯学習施設が「過去・現在・未来」をテーマに地域大学等と連携する合同事業を実施した。主に子どもたちを対象とするワークショップなどを通して、過去から現在へ、そして未来へ続く時の流れを、楽しみながら学び、体験することができた。

1階ホールではティラノサウルス全身骨格「倉夢(クラム)ちゃん」が来館者を出迎え、子どもたちに物語の始まりを印象づけ、2階展示室へと誘っていた。2階第2展示室は、過去への入り口として、「林原コレクション」のトリケラトプス頭骨、竜脚類大腿骨、竜脚類足跡、大型アンモナイトほか化石類などが、展示のスタートとなり、今回の展示会の流れを作った。続く埋蔵文化財センターの「板谷コレクション」の弥生時代の器、古墳時代の須恵器などで日本の古代へ誘った。次の図書館コーナーでは、恐竜を題材にした飛び出す絵本で子どもたちの驚きと興味を引き出していた。また、G7各国の絵本(原本)をそろえて国際色を演出し、教育大臣会合の開催をPRした。美術館のコーナーでは、「岡崎和郎×柴川敏之|未来の化石・化石の未来」展を開催した。柴川敏之の作品に加え館所蔵の岡崎和郎の作品をあわせて展示し、個性的な2人の作品を前に子どもたちが感じ、考える力の開発を目指した。最後の科学センターの「宇宙シミュレーター」で、過去・現在・未来の様々な日の星空を大画面で映し出し、子どもたちが生まれた日、大人になった日など、指定する日の星空を楽しむことができた。また、小惑星探査機「はやぶさ」のミッションをマンガで見せる「はやぶさくん日誌」のパネル展示で、日本の宇宙探査を分かりやすく伝えた。

美術館コーナーの「岡崎和郎×柴川敏之|未来の化石・化石の未来」展を企画するにあたり、思い浮かんだのは美術館が収蔵する岡崎和郎の作品群であった。日常のありふれた品が岡崎の手にかかると反転し、形が変化し、モノに対するまったく新しい視点によるオブジェが現れる。常に未来を志向している岡崎の作品は、過去・現在・未来のテーマに合致するものであった。さて、もう一人は柴川敏之である。柴川は「2000年後から見た現代社会」をテーマに制作している。未来の視点にたって、化石となった現代の「モノ」を見つめ直し、みるものに現代社会というものをあらためて意識させる。美術館コーナーではぜひこの2人をコラボレーションさせてみたかったのである。    

そして、子どもたちを輝かせたのが、ワークショップ「2000年後の化石を作ろう!」であった。これは身のまわりにあるモノ(おもちゃや文房具など)を化石にしてみようというもので、モノを粘土に押し当てて型を作り、そこに特殊な石膏を流し込んで作るというシンプルな手法であったが参加した子どもたちが柔軟な発想により、楽しく取り組んでいた。     

全体を通して、過去・現在・未来へと続く時代の只中で、日常を離れた新しい発見とその感動、喜びを子どもたちが受けとめられるような企画となった。子どもたちの知的好奇心と学習への意欲を育むことを目的に企画したこの事業において、柴川のワークショップ「2000年後の化石を作ろう!」は作品の完成度も高く、子どもたちが未来をみつめる良いきっかけとなった。熱心に取り組む姿は微笑ましくもあり、また頼もしくもあった。

2016/4/29ー6/19

岡崎和郎×柴川敏之|未来の化石・化石の未来|倉敷市立美術館 (岡山

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